キャンパーの皆さんならダッチオーブンやスキレットをお使いの方も多いはず。
ダッチオーブンなどの鋳鉄(ちゅうてつ)製アイテムに必ずついてまわるシーズニング問題。
では、そのシーズニング方法はどのようにされてますか?
シーズニング自体はちょっと面倒ではあるものの、それほど難しい作業ではありません。
ただ、使用する油に関しては以前から疑問があったのです...
これまで、都市伝説的に”ダッチオーブンは洗剤で洗ってはダメ” とか ”シーズニングにはオリーブオイルがよい”とされてきた経緯もあり、私もあたりまえのようにお湯で洗い、オリーブオイルでのシーズニングを繰り返してきました。
しかし、洗剤を使うことやオリーブオイルでないと本当にダメなんでしょうか?
今回は、オリーブオイルと一般的なサラダ油の2種類を使って実際にシーズニングし、違いや問題があるのか?
について検証してみたので、ぜひ最後までご覧ください^_^
目次
そもそもシーズニングって?
まずはシーズニングって何ぞや?ってお話から。
元来、シーズニング(seasoning)という言葉には、以下の2つの意味があるらしいです。
①油ならし・・・鉄製の調理器具の表面を乾燥させ、油をなじませて手入れすること。
②粉末の調味料・・・塩やスパイスなど複数の調味料、香辛料をミックスしたもののこと。
キャンプにおいては、①の意味が馴染み深いですね(^^)
では、なぜシーズニングが必要なのでしょう?
それはズバリ「さび防止」&「焦げ付き防止」です!
ダッチオーブンなど鋳鉄の製品は、新品の状態ではさび防止のため工業用のワックス・シリコンが塗られています。
なので、使う前にはきれいに洗い流し、新しい油を馴染ませてから使わないといけません。
これがいわゆるシーズニングですが、新品以降は使うごとに行う作業でもありますね。
最近は、初回のシーズニングが不要という商品も増え、より気軽に鋳鉄製品を購入できるようになりましたね(^^)
鋳鉄(ちゅうてつ)の特徴
純粋な鉄に比べ、ダッチオーブンなどの鋳鉄(ちゅうてつ)には、2%程度の炭素が含まれていることから錆びにくく、腐食も進みにくいです。
炭素量が増えるほど材料は硬くなり「強度」は増すが、反対に粘り強さを表す「靭性」は落ちるそう。
靭性=割れやすさ
なので、ダッチオーブンやスキレットなどの靭性が乏しい鋳鉄製品は、割れにくいように厚みを持たせており、重たくなるそうです。
なるほど(^.^)
実際、ダッチオーブンは急激に冷やしてはダメと言われますよね!?
熱々になったところに水で急冷することで、温度変化に弱い鋳鉄は製品そのものが割れてしまう恐れがあるということです。
ここでダッチオーブンなどの鋳鉄は錆やすいという認識は、いささか間違いで、鉄よりも鋳鉄のほうが錆びにくいのです。
洗剤で洗ってもOKな理由
結論から言うと、洗剤ごときで被膜は落ちないから!
なにを隠そう、この私もずっと 水 or お湯で洗う → 乾燥後に油を塗る というシーズニング方法を繰り返してきました^^;
その理由は、ずっと育ててきた黒光りの”被膜”が取れてしまうと恐れていたからです。
わざわざこんなLODGE(ロッジ)のブラシまで購入し、お湯を沸かして洗剤なしで洗ってきました^^;
被膜が取れることで、大事なギアが錆びてしまうと...
しかし、それは間違いだったのです!
それを理解する上で知っておきたい以下のこと。
錆(さび)には2種類ある
鉄に酸素と水が触れることでいわゆる「錆」が発生します。
そして、その錆にも2つの種類があるらしく、、、
①赤錆(あかさび)
化学式 Fe2O3
その名のとおり、錆自体が赤みがかっているもの。
鉄そのものを腐食させ、ボロボロにしていく。
一般的に錆と言われてイメージするのはこちらですね。
②黒錆(くろさび)
化学式 Fe3O4
自然に発生することはなく、鉄の表面にできる酸化膜のこと。
黒錆ができると赤錆の発生を抑えられることから、良性の錆と言われることもある。
被膜も2種類
そして、黒光りしたダッチオーブンやスキレットなどを覆う被膜にも2種類あるらしいのです。
①酸化膜(=黒錆)
これは、先ほどご説明した黒錆のことです。
鉄を600℃くらいまで熱すると、空気と触れ合っている部分が酸素と結合して作られる。
この被膜は基本的に落ちるものではない。
②樹脂層
表面に塗った油が変化してできる層のようなもの。
錆の防止と食材がくっつくのを防止する働きがある。
この層は、熱した鉄に油をなじませることで回復する。
鋳鉄の表面を覆う2種類の膜を簡単に表すとこんな感じ。
鉄のすぐ上に酸化膜ができ、その上を油の樹脂層が覆っているイメージです。
前述のとおり、この2つの膜は簡単には落ちるものではないので、洗剤で洗っても何ら問題はないのです(^o^)
むしろ、料理する道具なのに、洗剤で洗わずに中途半端に汚れた状態で使うことのほうが問題あると思いませんか(-.-)?
オリーブオイルよりサラダ油な理由
これに関しても、なぜかオリーブオイルがシーズニングに向いているとされてきました。
その理由は分かりませんが、結論としてはサラダ油のほうが適している!
これに関しては、ネット上で詳しく説明しておられる方もいますが、どうやらシーズニングには乾性油とやらが最適(オリーブオイルは不乾性油)らしいのです。
シーズニングに向くのは、乾性油 → 半乾性油 → 不乾性油の順らしく、具体例を挙げると、、、
乾性油
亜麻仁油、ベニバナ油、ひまわり油、ぶどう油など
半乾性油
コーン油、ごま油など
不乾性油
オリーブオイル、なたね油(キャノーラ油)など
不乾性油は空気中で固まらない油なので、被膜を作りにくいとのこと。
もう一歩詳しい話をすると、不飽和脂肪酸である”オレイン酸”よりも”リノール酸”のほうが化学式上の結びつきが強く、被膜を作るのに適しているらしいです。
そして、オリーブオイルの主成分はオレイン酸であることから、残念ながらシーズニングには不向きとなるわけです(T_T)
シーズニングの比較
それでは、あらためてシーズニングの方法を含め、以下2種類の方法でおこない、差があったのかということを見ていきたいと思います(^^)
今回の検証で使用するのは、テンマクデザインの「男前グリルプレート」。
もちろん鋳鉄製のアイテムです。
洗剤なし&オリーブオイル
まずは鉄板が少し冷めたところで、洗剤は使わずに水とブラシを使って洗う。
きれいになったところでコンロで空焼き。
先ほどお話したとおり、酸化膜(黒錆)を作るには600℃くらいが必要。
目安としては、モクモクと煙が出るまでおこないます。
新品のシーズニングでは、匂い消しのためにくず野菜を炒める方法もありますが、メンテナンスでのシーズニングではとくに必要ないと思います。
ここで注意したいのは、鍋や鉄板がガスボンベの上に被る状態でしないこと!
ボンベが加熱されて、最悪の場合は爆発の危険がありますので。
しっかりと空焼きし、乾燥しきったらオリーブオイルを塗ります。
グローブを装着し、くれぐれも火傷にはご注意を!
オイルを塗り終わった後、しばらく放置してどのように変化するのか試してみました。
場所は、自宅の庭に設置してある薪ラックの中。
屋根付きなので雨には濡れませんが、風や湿度変化などの影響は受ける環境です(^^)
そのまま2ヶ月放置した後の状態がこちら。
表面のツヤがやや無くなっているような気はするものの、錆の発生はありませんでした。
洗剤あり&サラダ油
お次は肉とホルモンを焼いた後、ひどく汚れた鉄板で検証(笑)
今回は躊躇なく洗剤を使用し、スポンジできれいに汚れを取りました。
同じようにしっかりと空焼きした後、今回はサラダ油を塗りました。
1回目と同じ場所に置き、2ヶ月間放置することに。
雨の日もありましたが結果はいかに!?
こちらが2ヶ月経った状態。
オリーブオイルの時と同様、錆の発生は全くなし。
ほんの気持ちですが、サラダ油のほうが表面のツヤが残っているような!?
シーズニングは洗剤&サラダ油で決まり!一生モノのギアに愛着を持って接していこう
今回は、私も個人的に気になっていたシーズニングについてでした^_^
自分なりに調べ、検証したことで自分の中でもモヤモヤしていたものがすっきりした気がします(^^)
今回は、オリーブオイルとの比較検証で、同じ不乾性油のなたね油(キャノーラ油)を使ってしまったのですが、乾性油を使うともっと大きな差が出たのかもしれません。
前半でも言いましたが、普通の鉄とは違い、炭素を含む鋳鉄はそんな簡単に錆びるものではありません。
たしかに使った後のシーズニングはしたほうがよいですが、錆びることを怖がらず、どんどん使い倒して育てていくことのほうが大事なのかなぁと(^_^)
補足にはなりますが、長期間使わない場合は、湿気を吸ってくれる新聞紙に包んでおくといいですよ♪
定期的に使う場合は問題ないですが、私も数ヶ月使わないな〜という場合は、新聞紙に包んでから付属のケースに収納してます。
今回の調査結果からシーズニングには、乾性油であり、かつリノール酸を多く含む、ぶどう油(グレープシードオイル)、亜麻仁油がとくにオススメかと思います!
最後に実際のシーズニングに使用したギアとおすすめしたい油のリンクを貼っておくので、ぜひ参考にしてくださいね(*^^*)